はじめに
息子が書字障害と診断されました。
小学校でタブレットを使用する許可をいただくために、私たち親がしたことをまとめました。
前回の続きです。
全体的な流れ
まずは全体の流れです。
主治医の意見書
主治医に「小学校でタブレットを使用した方が良い」と言われた時に、意見書もお願いしました。
経験上、『医師がこう言っていました』と口頭で学校へ伝言するよりも、書類で提出した方が誤解なく伝わり話がスムーズに進みます。
支援級担任へ連絡
学校と問題ない時は、伝える順序を守ります。
基本的には、
です。
学校の先生との関係性によりこの順序が変わったり、途中が省かれたりします。
先生方と関係が良好な時は、まず支援級担任へ話します。
もし支援級担任ともめていたり意思疎通が難しい場合は、支援級主任や支援コーディネーターへ話します。
その方々全員が難しい場合は、教頭や校長先生へ面談をお願いすることになりますが、この場合はタブレット持ち込みよりも先に改善しないといけないことが多々あると思うので支援してくれる機関に間に入ってもらった方が良いです。
余談になりますが、息子が一年生の時は担任と合わず試行錯誤しました。
子供がアスペルガータイプで高機能の場合は特に、支援方法が様々であり出来る事と出来ないことの差が激しいので先生によっては大変になると思います。
今回はこの話は主題ではないので書きません。
2年生の支援級担任はとても良い先生で、息子のことをよく理解してくれたので書字障害のお話をすると前向きに話ができました。(その後一応意見書も提出)
ただその場で、タブレットは私物の持ち込みになることや、壊れた時に学校の保険などはないことを説明してくれたので、支援級担任の先生が色々と詳しい方だったおかげだと思います。
この話し合いの時に、タブレット持ち込みについて校長先生との面談をお願いしました。
校長先生と面談
小学2年生の2月に支援級担任と話し、予定を調整して2週間後に校長先生と面談しました。
個人的には、すぐにタブレットは無理だろうと考えていました。
何年か要望を出し続けて、高学年で使用を許可してもらえたら上出来だと思っていました。
新しいことを始める時は時間がかかることを前提で行動を起こそうと思っていました。
予想とは違い、校長先生との面談はスムーズに進みその場でタブレット使用の許可を頂きました。
面談で支援級担任が同席してくれていて良い方向へ誘導してくれていたおかげだと思います。
息子の担任がこの先生になって、本当に幸運だったと思います。
その他の準備
先生との話し合い意外に行ったことを書きます。
息子の状態を把握
主治医の意見はもちろん大事なのですが、私たち夫婦から見てタブレット使用は本当に必要なのかを夫婦で話し合いをしました。
タブレット使用が有効なのかを調べたり、息子は本当に字を書くのが困難なのかを、今一度観察しました。
・主治医の説明であった通り、板書の負担によって授業の話が聞けずに学力が低下することは避けたい。
・普通級で使っている息子のノートをじっくり見てみると、途中で文が途切れているページがあった。今でも板書ができていないことが分かった。
・家でちょっとした漢字の書き取りや日記、お友達への手紙を書く時に親がつきっきりで書かせないと書けない。今まではそれが当たり前だったが、やはりこれは支援が必要だと思った。
息子の意見を聞く
前述から親は支援が必要と思いましたが、本人が支援を嫌がるなら本人の意思を尊重したいのでまず本人に意見を聞きました。
知的遅れがないアスペルガータイプの息子を育てる上で、息子の意見を無下にしない、息子の思ってたことと違うことをできるだけしないことは、とても大切にしています。
ここを間違ってしまうと途端に息子からの信頼を失ってしまうからです。
結果的に100%は息子の意思に沿えなくても、息子のこの意見を尊重するならこうなる、こうしたらこうなると説明しながらメリットやデメリットを話し本人に選ばせると納得します。
アスペルガーあるあるですが、良くない結果を他人のせいにするところがあるので、小さい頃から勝手に親が決めないことについては気を付けていました。
息子は社会性が育ち、周りを見る力がついたので、周りと違うことをして目立ちたくない気持ちがあります。
タブレット使用をするとノートに書く負担がかなり減る事(作文などは必要なので0にはならない)、けれど周りから何か言われる可能性はあること、それについては先生からちゃんと説明してもらうことなどを話しました。
息子の反応は、
「えっ、そんなことができるの!? やる!!」
でした。
親が拍子抜けするくらいあっさりと言いました。
息子によく話を聞くと、
・今でも授業中にノートを書きながら聞くのは無理な時があり、その時は書かずに聞くことに集中していた。(それでノートが途中までだった)
・文字を書くと、とても疲れて他のことをする力がなくなる。
ノートは書いていなかったけど理解はしており、息子判断で理解優先していたらしいです。
親バカですが、この判断はすごいと思いました。
余談ですが、支援級担任はこのことを理解してくださっていて、「ノートに書いていないけど理解はしている」ことを評価してくれていました。
有難いです。
そのため、タブレットを使用して黒板を撮影することも、しなければならないことと捉えなくて良いと考えてくれています。
息子の特性で聞くことに集中するとタブレットで撮影することを忘れることが予想できるからです。
理解することに重点を置くことを、保護者に意見を聞きながら校長先生たちにも共通理解として話してくれました。
本当にありがたい対応です。
勉強会へ参加
先生方との話し合いの前に、ちょうど合理的配慮についての勉強会に参加する機会があったので行きました。
息子は3年生から普通級に移籍することになっていたので、タブレットを使用するとしたら普通級です。
普通級で配慮を受ける場合は合理的配慮というものらしく、それを受けられる範囲を知りたくて参加しました。
ここで学んだことは、とにかく親が学校へお願い(要望)をするところから始まるということです。
公立の学校では過度ではない範囲の要望で他の生徒に迷惑がかからなければ、配慮をしなければならないそうです。
合理的配慮はほぼほぼ、過度なものでなければ、やってもらえるものというのが勉強会の講師の主張でした。
けれど、難しいもので、親が上から目線で要望すると、拗れます。
実際は現場の先生方との人間関係、相性、先生個人の考え方で大きく受けられる支援が変わります。
親の姿勢、立ち回り、人間関係の築き方は、子供に大きく影響します。
支援機関へ相談
息子が1年生の時に、学校と拗れた経験があり、その頃から支援機関で相談に乗ってもらっていました。
時には学校に足を運んで息子の様子を見たり、面談にも同席してくださっていました。
2年生になってからは担任に恵まれて個別相談で経過を報告するのみになりました。
一応書字障害が出た後に、報告に行ってどのように話を進めたら良いか相談に乗ってもらいました。
私は未診断ですが、アスペルガーの特性があると自覚しています。
話の進め方にはコツがあり、落としどころをきめてそこに導くように話すというやり方が全く分かりませんでした。
支援機関で定期的に相談することで、定型発達の方々はそのように考えて物事を進めていることに気付き、驚きました。
今でも到底、私には出来ない事ですが、相談しながら息子のために出来ることをしていきたいです。
なお、個人的な意見ですが、発達に気がかりがある子供(発達マイノリティー)を持つ親はその奥が親もまた発達マイノリティーであることが多いと思います。
だからスムーズに話を進めるのも、なかなか難しく拗らせてしまうパターンも多いのではないかと思います。
そのような親御さんは、周りにどんどん頼っていけば良いです。
私がいろんな方々から助けていただいたように、素直に、真摯に、相談し意見を受け入れたらきっと相手(専門家)も良い方向に導いてくれます。
分からない世界のことは、人に聞いて素直に実践するって大事だなと、いい年になっても学んでいます。
タブレットの準備
タブレットをどうしようかと、とても悩み、設定はややこしく、大変でした。
我が家は古いiPad mini(初代)があり、もう使用していなかったのでこれを使うことにしました。
写真を撮るか、アマゾンプライムビデオを見るくらいしかできません。
なぜipadにしたかというと、小学校にあるタブレットがiPadなので(今は台数少なく使えません)いずれ全校生徒が使うことになったときに移行しやすいからです。
あとは、子供向けのカバーがandroidよりも豊富でした。
我が家が購入したのは↑このケースで、ポイントは
・持ちやすい
・スタンドがある
・ショルダーストラップ付き
・スクリーンのカバーがある
でした。
これはどれもクリアしていて、しかもとても軽くて大満足です。
強いて言うなら、楽天セールの時に購入したんですが、あとから確認するとAmazonの方が送料無料で500円くらい安かったことに気付き残念だったことですね…。
購入するなら価格が違う可能性があるので比較した方が良いです。
物としては、とても良いです。
関係ないかもしれないけど大切と思うこと
ここからは、もしかしたらタブレット使用許可と言う結果に直接関係ないかもしれませんが、大切だと私が思うことを書きます。
日頃から学校の先生と信頼関係を築く
言葉で言うのは簡単ですが、日頃から先生と信頼感家を築くことはなかなか難しいです。
ただ、支援級だと先生と関わる時間が長いので築きやすいです。
親が受け身だと先生次第になるので、折を見て自分で機会を作り、笑顔で挨拶をするところから始めると良いです。
他に大変な生徒がいて目が離せない場合や、よほどの先生でなければ、支援級であれば用事で子どもを迎えに行ったときなどに軽く様子を聞けると思います。
送迎サービスのない放課後デイサービスへ週1回通っていた時に、私が学校へ迎えに行き5分程度(時にはもっと)担任の先生が話してくれました。
週に1回5分話すだけで、とても違いました。
そもそも担任の先生が素晴らしい方だったことも大きいですが、定期的に話すことで信頼関係が築けたと思います。
学校のボランティア活動へ参加
月に1回ほどあるボランティアに参加しました。
たまに子供の様子も見ることが出来ますし、学校側へは「学校任せで自分はなにもしない変な親」ではないと間接的に伝わる気がします。(個人的な意見です)
肌で感じましたが、先生方は「変な親」「モンスターペアレント」をとても警戒しているように思います。
一度そう見られてしまうと何を言っても親の意見は通りません。
我が家は1年生の時にそう思われていたと思います。
当時の担任と相性が悪かったこと、息子が支援級上級生から暴力を受けていたことは大きいですが、私も親として初めての小学校だったので、まだ幼稚園の気持ちが抜けきっていなかったと思います。
幼稚園・保育園と小学校は、全然違います・・・。
園時代の感覚でいくとダメです・・・。
ここはもう、ある程度親も経験するしかありません。
園時代はこれで良かったのに、と思うことは多いかもしれませんが、もう小学校なので、切り替えるしかないです。
ボランティアをすることで、先生方と顔を合わせる機会が増えました。
子どもの様子も見れますし、たまにこそっと覗いて家で見ている子供の顔と、外での子供の顔で違うこともあり、発見もあります。
よく学校で子どもが問題を起こした時に親が「うちの子はそんなことしません。」と家での子どもだけで判断して学校ともめるというのを聞きます。
でも、子どもって家と外では違う顔があったりします・・・。
それも成長です。
月1のボランティアでは完全には見れませんが、子供にそういう面があるということを感じられるだけで、ちょっと学校からの話に耳を傾けることが出来るのではと思います。
おわりに
我が家では、このような流れでタブレットを使用する許可を頂きました。
今現在、学校にタブレットを持ち込みしていますが、新型コロナの影響でまだ数回しか使えていません。
今後は学校での使用に慣れるとともに、家庭でキーボードの練習を始めました。
今の時代はスマホやタブレット、ノートパソコンがあるので、最終的にはボイスメモのメモ機能を使ったり、キーボード入力で文章を作成できれば仕事ができるし生きていけると思っています。
そこの繋がるように家庭で支援していきたいです。
今回の記事が、書字で困っている親子さんの助けに少しでもなれば幸いです。
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