発達マイノリティーの息子に私立中学を選んだ理由と勉強方法

中学受験
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はじめに

久しぶりの更新です。
その間に息子は私立中学受験をして、無事に合格しました。

この選択が息子にとって吉と出るか凶と出るかはまだ分かりません。
けれど知的な遅れのない自閉スペクトラム症のお子さんを持つ親御さんたちは私立受験に興味があるのではと考え、書いておくことにしました。

 

息子について 診断名と状態

息子は2歳の頃に自閉症スペクトラム(今は自閉スペクトラム症)と診断されました。

他にもADHD、書字障害などの診断名があります。
知的には平均的な数値ですが、ストレスの影響を受けやすく昨年まで療育手帳を持っていました。
療育手帳のために検査を受ける時期が息子の場合は5月で、毎回入園や入学、クラス替えなどで環境変化の直後に検査するので状態が悪くK式で70台だったこともあります。
ウィスクは受ける時期が秋以降が多く100前後です。
通常はK式での数値よりもウィスクは低めに出るので、珍しいタイプの子だと思います。

幼い時から自傷が激しく、積極奇異型で多動でした。

小学校は入学時に支援級の情緒クラスでした。
少しずつ落ち着いてきて、支援級の担任の勧めもあり3年生から普通級に移りました。

3年生の頃は荒れているお子さんがいて(コロナの年だったのでそれもあるかも)学級崩壊寸前で不登校になりかけましたが、息子だけじゃなくみんなが辛いクラスだったので励まし合いながら乗り越えました。

4〜6年生は、年に1・2回友達関係で悩みその日のうちに親に相談→担任に相談し解決してました。

6年生では、親に相談してくれたものの「自分で解決したい」と言い、一応息子了承の上で担任には伝えたものの見守るだけにしてもらい自分でお友達に話し解決していました。

今では自傷はすっかりなくなり、多動優位だったものは不注意優位になり、字は汚いながらも読める字を書いています。
積極奇異型で誰にでも話しかけていて困っていたのに、最近は人見知りが出てきて話しかけることが億劫になりすぎて困ってます。

ルールは守りたいタイプで、クラスでは問題なく目立たない子です。

私立中学受験を決めた理由

驚くほどの成長をしている息子。
ここまで成長していたから受験を決意できました。

 

安定していた

大前提として、高学年の時に情緒が安定していたことが挙げられます。
息子が不安定だったら受験はしませんでした。
まず安心安全の確保が最優先課題だからです。

息子は運良く環境に恵まれ、長期に渡り安心安全な環境で過ごせたため、情緒が安定していました。
多少のストレスがあっても受け流したり発散することができるようになっていました。

今の息子なら、受験に耐えられると判断しました。
ただし、首都圏のお受験のような過酷さではありません。
選んだ中学も、大人しいマニアックな発達障害のお子さんが多そうなところです。
余談ですが、高学年になり面談でこの中学を受験する予定と小学校の担任に伝えると皆さんが「いいと思います!たくまくんに合ってると思います」と熱心に言ってくれました。
いわゆる面倒見が良い学校みたいです。

 

公立では内申が取れない

息子は忘れ物が多く、授業中にぼーっとすることも多く、聞き逃しも多くメモも取らないため、内申点が取りにくいタイプだと思います。
積極的に手を挙げることもないので先生受けは良くないでしょう。

小学校の担任からは忘れ物が多い印象はない(重大な忘れ物はしない)と言われましたが、授業中に意識がどこかにいっていることは知られていました。

息子はルールを守りたい真面目タイプですがしっかりしていません。

高校受験で内申が低いと、筆記はできても不真面目なお子さんが多い学校にしか行けないことが予想できたため、高校で不登校になるのではないかと考えました。

高校受験を回避したい

中学3年生って多感な時期ですよね。

定型のお子さんでも精神的に脆い時期だと思うんです。

そんな時期に、受験がある。

定型のお子さんでもきついのに、息子が落ち着いて受験に取り組めるはずはないだろうと想像しました。

しかも思春期真っ只中で、親の介入を嫌がるでしょう。
親も子も疲弊する未来しか見えませんでした。
それなら、親の介入ができる小学生のうちに受験してしまった方が楽かもと思いました。

もし無事に希望の高校に行けたとしても、環境の変化が苦手な息子です。
中学に3年行って慣れた頃に卒業し、高校でまた新しい環境…3年でまた卒業…というのは息子に合っていません。

できれば中高一貫校で、6年間あまり変わらない環境の中で過ごさせてあげたいです。

前述しましたが息子は環境変化に弱く、そのストレスによっては発達検査の数値で言うと20〜30ほど下に出るほど状態が悪化しやすいのです。
環境の変化への対応は非常に重要だと考えています。

 

苦手な同級生を避けたい

先ほども書きましたが、3年生の頃に荒れていたお子さんがいて、そのお子さんに対して息子はとても苦手意識を持っています。

小学校では年度末に担任に同じクラスにしないようにお願いをしていたほどです。

でもそれも確実に離してもらえるわけではなく、中学では同じクラスになる可能性もありました。
そのため、4年生頃から息子とは中学受験の話をしていました。
学校が離れてしまえば同じクラスになることはないからです。
息子も苦手な子と離れたいと言う気持ちが強く受験に前向きでした。

 

大事に育てられたお子さん達と思春期を過ごして欲しい

公立というのはいろんなお子さんが来るところです。
裕福な家の子も、そうではない家の子も。
愛情深く育てられた子も、そうではない子も。

あくまで可能性の話ですが、私立中学というのは学費が高く、少なくとも高い学費を子供のために使えるくらいの愛情なり責任なりを持った親御さんが多いということは言えると思います。

 

我が家は裕福ではありません。
けれどたくさんの愛情を持って大事に大事に息子を育ててきました。

そんな息子は、穏やかで優しく、ニコニコしています。
一見して、恵まれた子だと、わかる人にはわかります。

残念ながらそういう息子みたいな子は、標的にされやすいのです。

これは私の感覚的な予想でしたが、主治医に中学受験の話をすると同じ懸念を話しておられました。
家庭環境が恵まれていないお子さんから標的にされるタイプだと言われました。
羨ましいという気持ちが、憧れという方向ではなく妬ましいという方向に向かうそうです。

もし息子が公立の中学に行ったら、大なり小なり虐められるだろうと思います。

けれど、私立中学だと親から大事にされて育ったお子さんが多いので、羨ましいと思われることや妬まれることが減るのではと考えました。

もちろん私立中学だと全て安心とは思っていません。
あくまで、可能性として私立の方がリスクが少ないのではとの判断です。
どんなに準備しても最後は運なので、これからも息子の様子をしっかりと見ていきたいです。

 

勉強方法

ちなみに入学予定の中学は、偏差値のの高い学校ではありません。

中学の内部生が高校進学でほぼ進むといわれている特進クラスでも偏差値60いかないくらいです。

だからこそできた勉強法だとご理解ください。

 

受験コースを選ぶかどうか

通っていた個別指導塾で、受験クラスの受講を勧められました。

金額は月に6万ほど、夏期講習でプラスうん万円、夏と冬にある合宿で3万円。

とても悩みました。

でも受験クラスの勉強スケジュールを見ると、テキストを順番にやってるだけだったんですよね。

そのテキストが、5年生と6年生の受験用テキストで購入可能だったので、私が自分で教えることにしました。
塾は週1回のままでした。(塾からはたぶん見捨てられてました)

個別指導塾なのに受験クラスはほぼ一斉授業になるようで、受験予定の中学に必要のない計算方法も教えられるみたいで息子には不要だと判断しました。

夏の合宿には参加させましたが、息子は頭がパンク状態で帰宅して、後半は何も覚えてませんでした。
焦ってパニックになっていたのかもしれません。
自信もなくしていて逆効果だった気がします。

息子は一気に詰め込むよりも休み休み息子の様子を見ながら教えないと時間の無駄になると思いました。(お金も無駄になりました)

 

親のアシストが必須

塾の受験クラスと同じ進度になるように、息子に教えていきました。
秋までに6年生で習う算数を終わらせないといけなかったので、受験用テキストと並行して基本的なテキストを購入し進めました。

親が過去問をまず解き、どんな傾向で問題が出るかを知ることから始めました。
すると、特殊な受験用の計算をする問題は過去4年間で皆無でした。
小学生の知識を持っていれば解ける問題がほとんどで、多少の工夫が必要な問題が1・2問出る程度でした。
正直大人の私や夫でも、その1・2問は解けるかどうか?というほどだったので、計算や公式など基礎的な力をつけて確実に点が取れるものを取れば落ちないだろうと考えて息子に指導することにしました。

この学校で問われるのは基礎力、難しい問題は解ければラッキー、解けない場合を考えて他は全問正解を狙う、と目標を決めました。

息子はとにかく計算ミスが多かったので、そこを徹底的に改善。

どのように改善したかというと、息子の意識です。

息子は、小学校に入学してから何度言っても見直しをしなかったんですよね。
テストでは見直しするからそこそこ取れるけど、普段しないからテストでも忘れることがありました。

たぶん、普段からしない理由はめんどくさいから。

そういう子を振り分けるためのテストだよ、と教えました。
本番のテストでだけやるのは無理、なぜなら受験は緊張するから、いつもの自分が出てしまう。
中学校には計算ミスをするかどうかを見られてる、計算ミスは見直しでなくせる、努力してでもこの中学に入りたいかを試されてるんだよ、と。

その説明に納得したようで、見直しをするようになりました。
あるあるだと思いますが、本人が納得したらすんなり行くんですよね。
ミスがゼロになったわけではないですが、かなり改善されました。

息子自身がこの中学に入りたいという強い意志があったからこそできたことです。

 

10月頃に6年生算数を終わらせて、あとは過去問を繰り返しさせたり、計算ミスが多い小数点の計算をさせたり、過去問に似た問題をテキストから探してやらせたり、親が予想問題を作ってやらせていました。
テキストに載っていた息子には必要のない受験用の計算は教えませんでした。

以上は算数に関してです。

 

国語に関しては、受験用テキストの文章問題を解かせて間違い直しを一緒にしました。(息子に任せたら意味のある間違い直しはしません)

当たり前のことをとにかく何度も説明。

理由を聞かれたら「〜から」、どういうことですかと聞かれたら「〜こと」と答える等。
幸い息子は文章問題はそこまで苦手ではなかったので、そういう答え方のルールや解き方のコツを教えることで丸が増えました。

ただ、問題は漢字です。

正直なところ、漢字は勉強の中で最も苦手なので半分捨ててました。

もちろんやらせたことはやらせましたが、無理なものは無理。

文章問題でその分取ろう!という作戦でした。

過去問を解くと、ギリギリ合格圏内…?
漢字が解けていたら余裕で圏内だったんですが。

模試でも算数は合格圏内、漢字はギリギリでした。

 

面接の練習は、オーソドックスな質問と答えを紙に書き覚え、ロールプレイをしました。
冬休みは毎日母子で練習してました。
息子は面接官役をしたがり、交代で役を代わっていました。
冬休み前に2回小学校で先生方が面接の練習をしてくれて、冬休み中に塾でも1回しました。

そこで毎回褒められたようで、息子は面接には自信があったようです。
声を大きくなどコツも教えてもらえて助かりました。

受験日前後の様子

受験勉強をしていると受験一ヶ月前に絶好調の時期がきました。

その後に集中力がなくなり、余力で解いてるような状態に。

長期間勉強するストレスとプレッシャーで押しつぶされそうでした。

 

ちなみに受験3ヶ月ほど前から動画禁止、2ヶ月前から友達と遊ぶことも禁止でした。
禁止というと言葉は強いですが、息子との話し合いをして息子の納得の上でのことです。
動画を見る時間が長いと癇癪が増える気がして、それを息子に伝えると息子もそうかもと自覚したので、受験が終わるまでは我慢することになりました。

お友達と遊ばないことにしたのは、単純に勉強の時間が足りなかったからです。
息子のエンジンがかかるのが遅かったため、時間がカツカツでした。

これらの禁止に関して息子から苦情が来ることはありませんでした。
本人が納得して取り組むことは大事です。

 

前日

塾の先生から珍しく電話がかかってきて息子に明日頑張れと激励してくれました。

先生はご厚意で励ましてくださったのですが、息子はその後にプレッシャーで泣き出してしまいました。

前日に崩れてしまって、もうこれは合格できないかもと思い、やれるだけのことはやったから結果は気にしなくていいよと言いました。

息子はごめんねーほんと、、、と謝ってました。

本当に頑張っていたので、良い結果だといいけどご縁がなくても息子にとって良い経験になると思いました。

どんな結果になっても息子を責めないし、良い経験にしていこうと考えていました。

 

当日

朝から緊張している様子でした。

中学校の玄関で親と子は離れるので試験に集中できていますようにと願うことしかできませんでした。

 

親子面接前に合流した時に、表情が明るかったので安心しました。

算数はバッチリ、国語は微妙だったようです。(2科目の受験です)

 

親子面接では、息子が何十回も練習していた言葉にアレンジを加えて話しており焦りました。
内容は自然で良いものでしたが私も夫も心の中で「えっ!?」と驚いていました。

親は一旦退席して子供だけが面接に残るのですが、後で息子に聞いたら面接官に褒められたそうです。
どうしてそんなに上手く話せるのか聞かれて、毎日お母さんと練習したことを話したそうです。

元々面接には自信を持っていた息子ですが、自信があったからさらに上手くできたんだと思います。

自信って大事ですね。

 

合格してから

親子でとても喜びました。

息子にとって素晴らしい成功体験になりました。

頑張れば報われる経験は何にも代え難いです。

 

中学に手続きをしに行ったら早速春休みの宿題を渡されました。

気が引き締まったと思います。

仲の良いお友達も一緒に合格していたのでよかったです。

 

今後のこと

実は、息子の障害については中学校に一切伝えていませんでした。

 

息子は普通級に移行して、少しずつ支援が減り、6年生では移行支援計画書も必要なくなり作成されませんでした。(支援が必要な子供に関して課題や目標、対応や様子を記入して学年が変わる際に次の担任に渡される計画書)

実際に担任の先生方からも毎年「他のお子さんと同じように対応してます。全く問題ありません。」と言ってもらってました。

親としても年々困り感は減っていて、あとは思春期の友人関係で大きな躓きさえなければ順調に行きそうと目星がついたところです。

息子は大人しいタイプで一人で困ることはあっても、人に暴力を振るったり授業妨害をすることはなかったので、先入観を持って見て欲しくありませんでした。
そのため、中学へは何も言わずに様子を見ようと考えていました。

 

が、しかし。

入学前の書類にバッチリと「発達障害がある場合は必ず申し出てください」との文言がありました。

これは無視できません。
何かあった時に学校に相談したいですし。
言わないのと隠すのとでは違いますものね。

別件で息子を不安定にさせる可能性がでてきたので(私に癌が見つかりました)、それも併せて相談するために中学へは告知済みです。
私としては、学校側はとても良い反応に思いました。
少なくとも排除するような雰囲気は感じませんでした。

 

おわりに

これからどうなるかわかりませんが、私立中学校で上手く行っても行かなくても、こちらに書いていきたいと思います。

少しでも発達マイノリティのお子さんを持つ親御さんたちの参考になれば幸いです。

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