はじめに
2歳で自閉症スペクトラムと診断された息子。
ある日突然「障害児」になった息子 ①
ある日突然「障害児」になった息子 ②
の続きです。
まず最初に主治医から指導されたことを書きます。
注意:あくまで息子の話であり、似たお子さんがすべて効果があるとは限りません。実際に会ってアドバイスをもらえる専門家へ相談されることをお勧めします。
当時の息子の様子(2歳)
当時の息子は、癇癪は毎日何度も起こし、思い通りにならないと泣き叫び、コンクリートであろうと床や地面に頭をゴンゴン打ち付けていました。
赤ちゃんの頃は抱っこすると反り返って嫌がっていました。
2歳では抱っこはできましたが、抱っこと言うよりは「物を持ってる」くらいの感覚で、息子は私に手を回すことなく上半身は行きたい方向へ乗り出すので支えるのに必死でした。
私を乗り物のように扱いあっちこっちを指さして操縦していました。
外を一緒に歩くと親を振り返りもせずタッタッタと走って好きな方へ行きました。
主治医から言われたこと
主治医からは「たくさん抱きしめるように」と指導されました。
特に「胸と胸を合わせて抱きしめるように」と言われました。
向かい合わせでお母さんの心臓の音を聞かせるのが大事だそうです。
正直なところ拍子抜けで、「これに何の意味があるのか?」と思いました。
しかも息子は赤ちゃんの頃から抱きしめるのが困難な子で、授乳の時くらいしか密着しなかったのです。(授乳も9ヶ月の時に息子が飲まなくなり卒乳)
抱っこしようとすると背中をそらして嫌がり、抱っこひもも暴れて無理でした。
そのことを主治医に伝えると「無理矢理にでも胸と胸を合わせて抱きしめなさい」と言われドン引きでした。
最初は息子が診断されたことも受け入れられず、主治医のことも信用していなかったのです。
でもやらなくて後悔するのも嫌だったのでとりあえずしてみました。
抱きしめてみると・・・
息子は2歳でしたが力が強く、初めは私ひとりでは抱きしめられませんでした。
夫に息子の手足を抑えてもらい息子を抱きしめました。
抱きしめているだけなので大泣きして全力で嫌がり離れようとする息子。
私を拒否する息子。
まるで私が嫌なことをしている気分でした。
ただ抱きしめているだけなのに…。
悲しくて私も泣けました。
私は息子を抱きしめることもできないのか、と傷つき、疲れ、抱きしめた後はグッタリしました。
次に主治医に合うまで1・2ヶ月あり、できるだけたくさん息子を抱きしめました。
言われた通りにしてみて効果がなかったらもう主治医のところに行くのをやめようと思ったのです。
最初は大泣きで嫌がっていた息子でしたが、しばらくすると泣かなくなりました。
あんなに嫌がっていた息子を、抱きしめることができるようになったのです。
驚いて主治医診察の時に報告すると「本当はお母さんに抱きしめてもらいたかったはず」と言われました。
でもあんなに反り返って泣いて嫌がっていたのに・・・?
さらに「抱きしめる回数を増やすだけで『この子自閉症!?』ってくらい良くなる子もいるんですよ」と言われました。
今後もたくさん抱きしめるようにと引き続き指導を受けました。
この抱きしめる指導は、小学生以降も有効だと言われました。
小さい時は軽いので立って抱っこしますが、大きくなると子供を持ち上げられなくなるので今のうちから座って抱っこするようにと言われました。
息子は立ってゆらゆらだっこしてもらいたがりましたが、小さい頃にずっとそうしていると、大きくなってもそれを要望されて大変らしく座って背中をトントンたたいてスキンシップを取るようにしました。
主治医の指導通りにすると、どんどん息子が良い方向へ変わっていったので主治医を信じて頑張ることにしました。
抱きしめることで変わったこと
息子の癇癪はパニックだと主治医に言われました。
私には癇癪とパニックの違いははっきりと分からないのですが、主治医が言うにはパニックはなりたくてなっているわけでもわざとやっているわけでも、わがままなわけでもないそうです。
主治医の指導通りに抱きしめるようにしていると、パニックを起こしている時は30分以上激しく泣いていた息子が、私が抱きしめると泣き止むようになったのです・・・!!
今までの苦労を思うと、抱きしめたら泣き止むなんて魔法のようでした。
多くの親子にとっては当たり前の事なんでしょうが、私にとってはすごいことでした。
主治医からはパニックを起こすときは不安で仕方ない時だから、お母さんが抱きしめて安心させてあげるようにと言われました。
不適切な行動には無視が良いんじゃないの?
この頃によくインターネットで検索していて、『癇癪・パニックで泣いている時に抱きしめたりすると「泣いたら抱きしめてもらえる」と誤学習してたくさん泣くようになるから放置が正解』と書かれていました。
ABAの消去の考えだと思います。
主治医にそのことを聞きましたが「パニックなんだから、不安を消してあげるのが優先」と言われました。
ABAを否定するつもりは全くなく、むしろ私は取り入れていることが多いのですが、この時のパニックに関して言えば主治医の言う通り抱きしめる方が効果がありました。
そして抱きしめることで、パニックの頻度は減りました。
それまでパニックする息子に対して「無視」をしたことがありましたが、息子が泣き疲れて寝たり、声が枯れたり、過呼吸のように「えっえっ」と声を出したり、30分以上大声で泣いて、そばで何もしないことに私の心も荒みました。
それで減れば良かったのですが、息子はその後もパニックを繰り返したのです。
これって見極めがとても難しいのですが、きっとパニックと癇癪って違うんですよね。
ここからは私の考えですが、
「暴れて困らせてやろう!オレの要求を聞かせよう!」と不満や怒りがからくるのが癇癪だとしたら、癇癪の時は無視が有効なんでしょう。
でも親に言うことを聞かせたいなどの意図がなく、ただ「どうしよう!どうしよう!!」と不安な気持ちでパニックになっているのなら、抱きしめて安心させてあげたいですよね。
親として未熟な私は、まだまだこの見極めをしている最中です。
診断前は「息子は私を困らせようとしてやっている」と癇癪だと思っていましたが、今思えば息子は不安が強く、あの頃は息子自身が不安でパニックで泣いていたんだと思います。(年齢が上がってくると知恵がつくので今起こすものもすべてがパニックとは思いませんが)
初めから抱きしめられる子なら良かったんですが、そうではなかったので解決方法も分かりませんでした。
どの方法が良いのか
よく思うのですが、効果があると言われている方法は、実際に試してみて子供に合うならやればよいし、合わなければ違う方法を探した方が良いです。
万人に効く方法はないと思います。
子どもに合う方法を親が見つけて取り入れて、子ども専用の関わり方を探すしかありません。
「最初は良いと思ったけど、続けていくうちにやっぱりこの方法はダメだった」なんてことも山ほどあります。
タイミング次第で良い方法が変わる場合もあります。
その都度、子供の特性と性格から、その方法がどういう効果があるか、続けていって誤学習にならないか、将来的に良い影響があるかを親が考える必要があります。
その後どうなったか?
2歳後半から「パニックを起こしたら抱きしめて安心させる」を始め、抱きしめたら寝きやむようになりました。
パニックの頻度が減りました。
その後は親から抱きしめに行くのではなく、子供から来させるようにと主治医に言われて練習。
6歳くらいで自分から母親のところに行って心を落ち着けられるようになりました。
自傷は抱きしめ始めてから減りました。
環境の変化が大きい年に自傷が復活しますが、安心して過ごせる環境・時期だと自傷はありません。
7歳の今では抱きしめられることが大好きな甘えん坊になりました。
羞恥心が芽生えて外ではクールなフリをしますけどね。
おわりに
パニックや癇癪は減った息子ですが、それだけで全ての問題がなくなったわけではありません。
その後も主治医からのアドバイスは続きました。
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あくまで息子の話なので、参考程度にしてくださいね。
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