はじめに
今小学生の息子は、幼い時にとても育てづらい子でした。
その理由の一つは百ゼロ思考が強かったからです。
息子の百ゼロ思考をなくすためには数年かかりました。
我が家で取り組んだ方法をご紹介します。
注意:息子にとって効果はありましたが同じやり方をしても全員がそうなるわけではないことをご理解ください。
百ゼロ思考とは
百ゼロ思考とは、「全か無かの思考」とも言います。
物事を極端に、白か黒か、0か1かという思考パターンのことを【全か無かの思考】といいます。不登校で苦しむ子どもを想定しましょう。まったく学校に行かないか、毎日全時間出席するか、どちらかしか結論はない、と考えてしまうような認知様式がこれにあたります。また、少しのミスでも完全な失敗と考えてしまう傾向があります。
引用 松浦直己「教室でできる気になる子への認知行動療法 『認知の歪み』から起こる行動を変える13の技法」 中央法規出版 p41
引用元の書籍はとても分かりやすくおススメです。↓
息子の事例
息子は2歳~4歳の頃に百ゼロ思考が強かったです。
一つの間違いが許せないらしく、工作でのり付けするところを間違えるとギャー!!!!と泣き叫びパニックになっていました。
折り紙でうまく折れないとギャー!です。
うまく絵が描けないから全くお絵描きをしませんでした。
上手く行かなそうなことは取り組まない頑固なところがありました。
少し年齢が進んでこどもちゃれんじで簡単なワークが始まった時も、間違いはなかなか受け入れられませんでした。
算数は得意なので機嫌よく取り組みましたが、線をなぞったりひらがなを書くワークは拒否した時期があります。
手先が不器用だったため、手先を使う遊びはあまりしませんでした。
できなくてもやってみれば経験を積めて上手くなると親としては思いましたが、息子は初めから上手くやらないとダメという意識が強かったです。
対処の仕方
環境整備
まずは園や学校などの環境が大事です。
親がいくら家庭で努力しても、園や学校が上手く出来ないと叱責される環境だと「上手くやらないとダメだ」という思考は変わりません。
低年齢の場合は、園選びはは熱心なお勉強系ではなくのびのび系がおススメです。(あくまで個人的意見です)
ただのびのび系でもお勉強系でも、方針よりも実際の先生方の関わり方をチェックするのが大事です。
「完璧な自分じゃなくても大丈夫」と子供が思える環境を選ぶことが重要です。
就学している子どもだと、特に普通級であれば発達マイノリティーの子にとってはあらゆるハードルが高いと思います。
低学年だと漢字のはねやはらいなどが細かくチェックが入りますし、園よりもしっかりやらないと怒られる機会が増えます。
診断名なしに配慮をしてもらえる担任だといいのですが、6年間もそのような良い先生に恵まれるとは限りません。
やはり医師の診断名や意見書があると、説得力が違います。
就学の時期には診断名を確定して事前に相談したり、問題が起きそうならすぐに担任に相談できるように準備するのがおススメです。
特に息子と同じタイプの、過剰適応(→家で荒れる子供~過剰適応について~ )してしまうタイプはある日突然学校に行けなくなることがあります。
発達系の病院は予約から診察まで少なくとも3ヶ月以上待つことがほとんどなので、必要になってからではなく早めに動いた方が良いです。
具体的に担任に配慮してもらうことは、漢字のとめはねなどは多少大目に見てもらったり、宿題の量を減らしてもらったりやり方を工夫させてもらったりすることです。
少し配慮してもらうことで、子どもの負担を減らせます。
けれどこれは担任の考え方や性格にもよるので、支援級でないと難しい配慮もあるかもしれません。
そのような場合に医師からの意見書があると効果的です。
家庭でできる対処法
親が日頃からできることは、褒めることと、100か0以外にもあると教えることです。
今回の内容と重複している部分もありますが褒める事について詳しく書いた記事はコチラ→発達障害児との関わり方〜基本編〜
出来なくても過程を褒める
もし課題が出来なくても「最後まで取り組めたね」とその過程を褒めます。
途中でやめてしまっても「ここまでやれたね」と褒めましょう。
どうしてもうまく行かない時は、子供の後ろから二人羽織りのようにして、子供の手に親の手を添えて上手く出来るように親が誘導してあげます。
息子の例で言えば、工作でのりが上手くつけられなかったら親が後ろから手を添えて、うまくのりをつけてあげます。
そして「そうそう、できたね」と子供の手柄にします。
うちは息子がなかなか手を添えさせてくれなかったので大変でしたが、これが出来るようになったらたくさん褒めることができるようになりました。
「全然できなかったんじゃないよ、ちょっとのりをつけられてたじゃん」と、100か0かじゃなくて30や70だった事実を声かけします。
一朝一夕では効果はありません。
事あるごとに声かけをして、年単位で取り組みました。
上手にできることだけを褒めない
上手くてきたことだけを褒めると、上手くできなさそうなことは挑戦しなくなります。
上手くできたことだけを褒めるのは逆効果なので、上手くできなくても過程を褒めたり、アイメッセージ(次項を参照)で褒めましょう。
アイメッセージで褒める
例えば絵が上手く描けない息子は絵に全く挑戦しませんでした。
今も苦手意識はありますが、気分が乗ると自由帳に自分で考えたポケモンの絵を描いています。
それを見た私は
「お母さん、このポケモン好きだなぁ(^^)」
と褒めます。
上手に描けなくても褒め方はたくさんあります。
主語を「 I 」(アイ)にすれば良いのです。
「私は、あなたの絵が好きだよ。」
「私は、このポケモンがかっこいいと思うよ。」
「私は、この絵が欲しいな。」
などなど、このような意味の言葉を声かけしたら良いのです。(もちろん自然な言葉に変換して使ってくださいね)
褒める機会を増やす
子どもに褒める所が全然ない!と思われる方は、親御さんの褒めるハードルが高い可能性があります。
褒めるハードルを下げましょう。
立ち歩きせずに授業を受けられるのが当たり前ではなく、それができたら「頑張ったね」と褒める。
親の話を最後まで聞けたら「しっかり聞けたね」と褒める。
子どもを連れている時に親が他の大人と話し込んでしまったときに、子供が問題を起こさず隣で待てたら「話し込んじゃってごめんね。お利口さんに待ってくれてありがとう。」と謝って褒める。
ちょっとしたことでも、やれて当たり前だと思うことから褒めてみてください。
できればすぐにその場で褒めましょう。
すると良い行いが定着します。
余談ですが、良い行いを褒めてその行いを増やしたり持続させることを、応用行動分析学(ABA)では「強化」と言うそうです。
私は主治医から褒めることを教わりましたが、主治医が言うには「褒めることがごほうびになるのは低年齢まで。年齢が上がると物(おもちゃやお菓子)がほしいと言うようになるので、褒めるだけでごほうびになるうちにたくさん褒めておいた方が良い」だそうです。
たくさん褒めてあげてください。
精神年齢が幼いことを親が忘れないこと
よく言われる事ですが、発達障害の子は実年齢の7割か8割くらいの精神年齢だと考えると良いそうです。
息子は現在8歳なので精神年齢は5歳半~6歳半くらいと考えるとしっくりくます。
「5歳半だったら仕方ないか」と納得できることが多々あります。
息子は発達凸凹なので8歳の部分もあり、つい8歳扱いしてしまいますが心は幼いです。(かわいい部分でもあります)
実年齢で考えてしまうのでイライラしたり焦ったりしますが、常に7割くらいの年齢だと意識していれば怒ることも減るのではないでしょうか。
むしろ大変な環境でよく頑張っていると子供を褒めてあげる機会が増えます。
効果
8歳の息子は、今では百ゼロ思考はなくなりました。
のりが上手くぬれなければ親に助けを求めてきたリ、上手くぬれてなくてもそれでいいと息子自身が思えるようになりました。
百ゼロ思考がなくなったおかげでパニックになることが激減し、生きづらさが減った気がします。
親としてはとても育てやすくなりました。
効果が出始めたのは5歳くらいからで、2・3年は褒めたり現状を説明(極端な考え方であり、100か0以外にもあることをその都度具体的に伝える)を続けていました。
今はそうするのが当たり前になり、今も継続しています。
褒めることは百ゼロ思考に直接は関係ないかもしれませんが、たくさん褒めることで親の言葉が子どもに入りやすくなったと思います。
そうやって言葉が入りやすくなったときに、「今のは100でも0でもなくて50くらいだったよ」と教えてあげると徐々に入っていくのです。
褒めることで親子関係を良好にする
大人でも同じだと思うのです。
いつも嫌味や意地悪なことを言ってきたリ「出来て当たり前」と頑張ったことを褒めてくれない上司の言うことは素直に聞けませんよね?
そんな上司が「その捉え方は極端すぎる」なんて言ってきたら、私なら腹が立ちます。
「何も分かってないくせに!」と。
でも逆に、いつも自分を認めてくれて頑張った時は褒めてくれる素敵な上司から「その捉え方は極端すぎる」と言われたら、素直に受け止められます。
ダメ出しばかりしていたら本当に大事な時に、相手に言葉が入らなくなります。
子どもが素直に受け止められる親子関係を築くことはとても重要です。
おわりに
今回書いた百ゼロ思考は「認知の歪み」の一つです。
認知の歪みがあると知的に遅れがなくてもとても育てづらく正解になかなかたどり着けません。
認知の歪みについてまた書いていきたいと思います。
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